「俺は、先輩がその気になってくれるのを待つつもり。だからって、誰かに譲るつもりはないよ」




その言葉には強い意志が感じられる。
ちゃんと姉ちゃんの事を考えてくれてるのがすごくわかる。

でも、俺は嫌なんだ。
姉ちゃんがすぐに蜂屋さんの気持ちに応えられない理由が自分に在るってわかるから。


俺がいなければって、想ってしまうから。




俺なんかのために、姉ちゃんの幸せを後回しにするなんてあっていいわけがない。
でも、俺がいたら姉ちゃんは絶対に俺を優先する。


それでも、俺と暮らすのが幸せだって姉ちゃんが笑って言うから、俺はここにいる。
でも、今はもうそれがしんどい。


母親の言葉が消えない。



俺のせいでって気持ちがどうしても消えない。



もう無理だ。
これ以上、俺の犠牲に誰かがなるのは…。



耐えられない。