『蜂屋と飲んで帰るからご飯は適当に食べて♪』



夕方、そんな連絡が姉ちゃんから入る。
普段はなかなか飲みに行ったりしない姉ちゃんが珍しい。
でも、たまには息抜きだってしてほしい。


この生活になってから、姉ちゃんは俺のために必死に働いてくれている。
自分一人なら食べていくのだって余裕ができるし、自由な時間だってもっと作れるはずなのに。


出していた洗濯物をしまう。
俺がいくらバイトで稼いできても、姉ちゃんは少しも受け取ってはくれない。
自分のためにつかえと言うばかりだ。


だから、俺は姉ちゃんがいつか結婚する時のためにバイト代をため込んでる。
おしつけてでも、受け取ってもらわないと。




そんな事を考えながら家事を済ませ、テレビを見ながら落ち着いていると玄関のチャイムが鳴る。
時計を見ると夜の11時。




「はい」

――あ、こんばんは。あの、蜂屋ですけど、お姉さんを送ってきたので玄関を開けてもらえますか?

「あ、はい」