「海老名、バイト終わって帰るけど、お前どうすんの」



俺だけ置いてけぼりでにぎわっていた空気の中を切り裂くような声。
俺は顔をあげその声の方を見る。
私服に着替えた凛だった。



「え…、あ、」

「は?なに、かえんの?参加しねぇの~?」

「興味ないって言ったろ」



そんな凛に声をかけた一人にも、凛はつれなくそう答えた。
でも、俺を呼びに来てくれたんだ。
胸がギュッとした。




「どうすんの」

「帰る」




俺は、変な茶々が入る前にそう答えると鞄を引っ掴んで立ち上がった。



「は?帰るわけ?いいのかよ」

「…っ、別にいい。お前らにどう思われても、なに言われてても、もう俺には関係ないから」




なんで最初からそう言えなかったんだろう。
凛がいたから勇気が出るなんて。


ほんと、つくづく情けない奴。