ここにいるやつらを、全員殴り飛ばしてくれて、俺はそれだけでスッと気持ちが楽になった。
そのせいで凛は謹慎をくらったけど、文句ひとつ言わなくて。
そのことがあって、俺へのいじめはなくなったから、俺は本当に凛に感謝してる。
凛の側にいたくて、同じ高校目指して凛の側にいるのに相応しい人になろうって努力して。
あんな風にいじめられて、俯いて地味な俺が、頑張ればこんなに変われるんだって。
でも、それは偽りの姿だから。
本当の俺は、やっぱり弱くて情けなくて女々しくて。
「まああいつもさ、友だちいなかったしちょうどいいんじゃねぇの?友だちいない者同士つるんでいい感じじゃん」
「言えてる!」
そんなことない!
俺の事はなんて言ってくれても構わないけど、凛の事まで悪く言うのは許せない。
でも、反論する勇気なんて、俺にはない。
グッと机の下で拳を握った。
「お待たせしました、注文の品です」
その時、話を遮るように店員が料理を運んできた。
話が途切れ、自分で反論することが出来なくて情けなく思いながらもホッと息をついた。

