「マジ、なに?高校デビューってやつ?」
「俯いてばっかで、地味だったのにな!今の学校の奴は知ってんの?お前が根暗だったって」
強引に席につかされ、下品な笑い声と共に投げつけられる言葉。
こんなの、わかりきってた。
ここに来れば、こうなること。
「お前さ、あいつと同じ高校なんだろ?まだ金魚の糞みたいに引っ付いてんの?」
「え?誰誰?」
「ほら、あの一匹狼だよ。宇佐木!」
「あー、あのウザったいやつ。ほんとえらい目にあったよな!」
えらい目?
それが何でだったかなんてきっとこいつらは覚えていない。
中学の時、いじめられていた俺を凛は助けてくれた。
中学の途中で転校してきた凛は、喧嘩っ早くてよく問題を起こすことで有名だった。
きっと凛は、ただ虫の居所が悪かったとか、たまたま通りかかったからとかそんな理由だったと思う。
それでも、俺にとっては凛は救世主だった。

