少しでも、凛に近づきたくて。
凛の隣に相応しくなりたくて必死に背伸びした結果。


中学の時、さえなくて地味で俯いてばっかでいじめられてた俺。
弱くて、言い返すこともやり返すこともできずに。



「ほら、はいろ!みんなびっくりするよ!」

「あ、あの…」



凛と出会って、救われてこうして立ち直れた今があって。
それでも、あの頃の人とは会いたくはなくて。

簡単に引き戻されてしまうことがわかってるから。



若槻さんに連れられて中にはいる。
中にはもうすでに人が集まっている様子で賑やかだった。

バクン、バクン、と心臓が煩く鳴る。
嫌だ、逃げ出したい。
入りたくない。



「みんな!久しぶり!!見て見て!海老名くん、めっちゃかっこよくなってんの!」

「え!?ウソ!ホントだ!」

「別人じゃね!?」



一気に注目が集まる。
嫌な視線。