私は本当に、母の腹から生まれたのだろうか。そして、父の血が流れているのだろうか。
 昔から思っていた。
 父と母には絶対に追いつけない………そんな気がする。いや、追いつけないのだろう。
 父は天皇家の血を継ぐ、聖武天皇。賢く、慈悲深く、、そして天皇であった。母は、権力者 藤原不比等の娘、父の正妻、光明子。光り輝いていた。
 私は、朝起きる時から夜眠る時まで、聖なるもの。もしかすると寝ている時も、国の鏡でなければならないのかも知れない。
 そんな仕事が、私につとまるだろうか。
 私につとめる資格があるのだろうか。
  
 …こんな私に。