「サナさん、おはよう」
美加がサナに話しかける。
「あ……、美加さん。おはよう」
サナは、一瞬目を点にしてから、ニコッと微笑む。
美加に声をかけられると思っていなかったんだろう。
「サナさん、今日は昨日と全く雰囲気が違うわね。素敵だと思うわ」
「あっ、ありがとうございます」
「ところで、今日の放課後。一緒にカラオケへ行かない?」
「えっ、私ですか?」
「えぇ、そうよ」
「あ……。でも今日の放課後は………」
サナは、チラッと後ろにいる梨央と春菜に目を向ける。
二人と遊びに行く約束のでもしていたのだろう。
(ここで私の誘いを断らないわよね……?サナ)
美加は、冷たく鋭い目で梨央と春菜を睨む。
無言の圧力。
それは、とても人の心を弱くする。
「あっ、サナ!きょ、今日はしょうがないよ!また今度行こう」
「う、うん!それがいいよ!」
美加の唇が吊り上がる。
「じゃ、じゃあ。美加さん、お誘いありがとうございます」
サナは、素直に喜んでいる。
「私も楽しみよ」
美加の笑顔が不敵に咲いた。