どこからか、こんな会話が美加に聞こえてきた。


「あの人スゴく綺麗な人だね」


「あんた、3年B組の美加さんを知らないの?」


「え?有名な人なの?」


「有名も何も『ナインティーン』の読モをやってる人だよ。しかも、親は高円寺グループの社長さん。あの大企業の」


「ふえーっ。あの美貌に加えて、家も金持ちとか、人生勝ち組じゃん!」


「まあね。私たち庶民とは違う生き物なんだよ。きっと」


(……ええ、そうよ。私は貴方たちとは違う。人生の勝ち組。人間カーストのトップなのよ)


そんな美加の肩を誰かが触れた。


「美~加!おはよ!」


「おはよう、美加」


振り返ると、美加の仲良しグループの、麗音と彩華がいた。


「おはよう、麗音、彩華」


二人とも、美加には及ばないが、多くの者が彼女たちを美しいと評価する。そんな容姿の持ち主だった。


麗音は、ショートボブの髪の毛先を軽く遊ばせていて、スラリとしたスタイルが印象的な日本美人。


一方、彩華は、腰まである髪を高い位置でツインテールにしており、背が低めの可愛い系女子だった。


「ねーねー、美加。さっきの女子たちの会話聞こえた?また、美加のことを綺麗って言ってたよ。いやー、もう美加は学園のアイドルだね!」


(ふふっ……当然よ)


美加は平然を保ちながら、二人を連れて、教室へ向かった。