「冗談だって。それより、この観葉植物を動かしてみよう」
「うーっ……でも、何で動かすんですか?」
「それは……この形がヒントそのものだからだよ」
と、観葉植物を指差す。
意味が分からない様子の律子ちゃんに俺はヒントにあった『携帯の電波』の話をすると納得してくれたようで、頑張って動かし始めた。
この観葉植物は一番左側が短くて、右隣の観葉植物は頂点が逆三角形に刈り取られた奇妙な形をしていた。
更に五つの中で真ん中にある観葉植物は一番高く、その右隣の観葉植物は二番目に高い。最後に一番右側の観葉植物はごく普通で特に変わった様子はない。
それだけでも他の四つに比べたら違和感があるのに、これだけ動かした形跡がまるでなかった。
「うわっ……これっ、お、重たいですっ」
一番左の短いのが軽いだろうと思って動かしてもらおうとしたが、どうやら見た目よりも重かったらしい。
力を入れて動かそうとしているがまったくビクともしないので諦め顔で俺を見上げていた。
それを俺が動かす事にして隣にある逆三角形の奇妙な観葉植物をお願いしたのだが――
「きゃあっ」
今度は予想外に軽かったようで勢い余って尻餅をついていた。
……見た目と重さがあってないのか?
他の観葉植物も試しに持ってみたが、重さが見た目とは明らかに違っていた。
これは何か意味があるのか?
それともただのカモフラージュか?
コハルの考える事を理解するのは難しいところがあるので困ってしまう。


