「先輩、プリン食べますか? あと、エクレアとシュークリームもありますけど」
そこへ「少し、休憩をしよしょう」と言い出した律子ちゃんが冷蔵庫の前で座り込んでいた。
色々と考えていて頭が疲れてきたので甘いものでも食べるとしますかね。先ほどアイスを食べたけど、お腹は空いているので何かお腹の足しになるものが欲しい。
「そうだね。エクレアをもらおうかな」
「はい、分かりました」
冷蔵庫の中を覗き込んでいた律子ちゃんは頬を緩ませてエクレアらしきものを持ってきた。
「……何、これ?」
「エクレアですよ。えっと……『デラックスジャンボエクレアスペシャル』って名前みたいですよ。私も始めてみました」
俺は律子ちゃんの持ってきたエクレアを見て絶句していた。
……おいおい。
俺の前には長さ三〇センチほどで直径が一〇センチはありそうなエクレアだと思われる物体が入った袋が置かれている。
これがエクレアだと言われても誰が食べるのだろうか?
買うのだろうか?
こんなものが売っているとは始めて知ったよ。
「まあ、これは置いといて――律子ちゃん、ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど」
「はい、何ですか?」
律子ちゃんの手を引いて観葉植物の前に立ち、ゆっくりと肩に手を置いて――
「これを俺の指示通りに動かして欲しい」
真っ直ぐに律子ちゃんの瞳を見つめていた。
「え? あ、は……恥かしいで――ええっ、私が一人でするんですかっ」
「そう。俺が指示するから律子ちゃん一人で頑張ってね」
「う、ううっ……うーっ」
ちょっとしたプリティジョークだったのに律子ちゃんは本気にしたみたいだ。
半分は本気で言っているのだが、律子ちゃんもそれは肌で感じ取ったようで俺を見る目が半端なく冷たい。
ついでに恐い。


