「雑誌、ですか?」
「そう。この雑誌はね、五月と七月がないんだよ」
テーブルの上にある雑誌に手を載せて叩き、抜けている月を読み上げる。
「五月は『MAY』、七月は『JULY』……つまり、『5M』と『7J』って事だ」
「…………あ、本当だ」
少し遅れて納得した声を上げる律子ちゃんは掌に指で書いていた。
「だが、このヒントをどこで使うのか分かればいいのだが」
「ですね。あ、そう言えば……このプレートに小さく文字が描かれているんですけど」
ポンっと思い出したように手を叩いて律子ちゃんが指差したのは、たった今問題になっている一番右のプレートだった。
……そういう事は早く言おうね、律子ちゃん。
重い腰を上げて立ち上がった俺は観葉植物の前まで歩いていき、プレートを手に取ってみた。そこには律子ちゃんの言う通り、小さく『数を抜かないと答えは育たない』と描かれていた。
「……謎掛けばかりだな、ここは」
苦笑している律子ちゃんは「疲れました」と立ち上がって冷蔵庫のドアを開けて座り込んでいた。出来れば早く律子ちゃんを家に帰してあげたいのだが、副生徒会長が言う事を聞くはずもないだろうな。
「困ったな……はあ」
小さくため息を吐いて何気なくフローリングに目を落としたが、そこに妙な傷跡を発見した。
それはフローリングの床を擦ったような傷跡で観葉植物の前だけに集中していた。よく見てみると観葉植物の鉢が乗っている受け皿(?)には動かした形跡が残っており、前後に微妙なズレが生じていた。
……そういう事か。
普通なら気にならないような事だが、ここでは全てが怪しく見える。
フローリングについた傷は前に横にと擦ったような跡で、力任せに動かしたのが一目で分かるものだった。しかし、その傷跡を見ていてこの観葉植物の奇妙な並び方と形が何を意味するのかやっと分かった。
「そう。この雑誌はね、五月と七月がないんだよ」
テーブルの上にある雑誌に手を載せて叩き、抜けている月を読み上げる。
「五月は『MAY』、七月は『JULY』……つまり、『5M』と『7J』って事だ」
「…………あ、本当だ」
少し遅れて納得した声を上げる律子ちゃんは掌に指で書いていた。
「だが、このヒントをどこで使うのか分かればいいのだが」
「ですね。あ、そう言えば……このプレートに小さく文字が描かれているんですけど」
ポンっと思い出したように手を叩いて律子ちゃんが指差したのは、たった今問題になっている一番右のプレートだった。
……そういう事は早く言おうね、律子ちゃん。
重い腰を上げて立ち上がった俺は観葉植物の前まで歩いていき、プレートを手に取ってみた。そこには律子ちゃんの言う通り、小さく『数を抜かないと答えは育たない』と描かれていた。
「……謎掛けばかりだな、ここは」
苦笑している律子ちゃんは「疲れました」と立ち上がって冷蔵庫のドアを開けて座り込んでいた。出来れば早く律子ちゃんを家に帰してあげたいのだが、副生徒会長が言う事を聞くはずもないだろうな。
「困ったな……はあ」
小さくため息を吐いて何気なくフローリングに目を落としたが、そこに妙な傷跡を発見した。
それはフローリングの床を擦ったような傷跡で観葉植物の前だけに集中していた。よく見てみると観葉植物の鉢が乗っている受け皿(?)には動かした形跡が残っており、前後に微妙なズレが生じていた。
……そういう事か。
普通なら気にならないような事だが、ここでは全てが怪しく見える。
フローリングについた傷は前に横にと擦ったような跡で、力任せに動かしたのが一目で分かるものだった。しかし、その傷跡を見ていてこの観葉植物の奇妙な並び方と形が何を意味するのかやっと分かった。


