まあ、回想の回想はこれくらいにして――。

「んっ、これは……紅茶? いや、緑茶かな?」

 俺が受け取ったのは小さな筒状の入れ物で、中を開けてみると緑茶の葉をすり潰したような粉が入っていた。


 ……なんだ?


 鼻を近づけてみると、ほのかに香ってくるのは緑茶のような爽やかな香りで、頭の中をリフレッシュしてくれそうだった。

 しかし、何故こんなものを副生徒会長が持ってくるのだろうか?

「まあ、華子が持ってきたけど変なものじゃないでしょ……律子、淹れてみてよ。それと確か、お菓子あったよね」
「あ、はい――分かりました。お菓子はそっちの棚に入ってますよ」

 面倒臭そうに俺の手元を指差して立ち上がった和音さんは棚の方へ歩いていき、律子ちゃんは俺の手から筒状のものを取り上げて早速お茶の準備を始めていた。

「で……部長も一緒にお茶を飲んで、気付いたらここにいた。って事ですよね?」

 思い出して何度も頷いている律子ちゃんに俺は一つだけ頷いて肯定した。

 律子ちゃんが用意してくれたお茶を飲みながら和音さんが棚から引っ張り出してきたお菓子を食べ、変態部長も一緒になってお茶を飲んで楽しく談笑をしていた。

 が、そんな中――急激に襲ってきた眠気に何事かと思っていたが、和音さんと律子ちゃんも同じようにふらついているのが目に飛び込んできた。

 何が起こっているのか分からずに遅い来る眠気に抗う事も出来ず、眠りに落ちていく意識の中で誰かの笑う声を聞いたような気がした。

「そうだね……律子ちゃんの淹れたお茶を飲んだよね」
「なっ、なんで私を見るんですかっ?」
「いや……律子ちゃんが睡眠薬でも入れたのかなって」
「そ、そんな事しませんよっ」

 ムスっと頬を膨らませて猛烈に抗議をする律子ちゃんを宥めつつ、俺はこの状況をどう打破するかを考えていた。