「……すごいですね」
「そうだね。でも、あっちはほっといていいから、律子ちゃんはこんな風になったら駄目だよ」

 呆れた顔で和音さんを見ている律子ちゃんのひきつった顔が何ともいえないが、俺は首を横に振って野生児を指差していた。

 アホのように貪りつく和音さんは俺達の会話など聞こえてないようで、もう何個目になるのか分からないケーキを食べていた。

「……ねえ、律子ちゃん」
「何ですか?」
「一体、何個ケーキ買ってきたの?」
「えっと……二〇個ですけど、少なかったですか?」

 いや、十分に多いと思うよ。

 でも……ね。

「ふうーっ、食べた、食べたっ」

 それを全部一人で食べた人がいるんだよね、ここに。

 満足した顔でお腹を擦り、まだ箱の中を見ている和音さん。

 目の前には食べ終えたケーキの残骸とも言うべきフィルムやら銀色の受け皿(?)やらが散乱し、見事な山を気付いていた。

「ねえ、僕の事を無視しないでよお」
「……そう言えば、そこにいたのを忘れてましたよ。仲良く副生徒会長とやってください」
「いやーっ、見捨てないで!」

 部室の隅――特設会場の如くライティングされた場所で部長が副生徒会長とお茶をしているが、かなり迷惑だって顔で俺に助けを求めて来たが軽く受け流した。

 どうしていつも賑やかなんだろうね……ここは。