「おっ……終わったみたいだね。いやあ、アレがあそこまで繁殖してあんな事になるとは思わなかった。でも、色々といいデータが取れたから良しとするかな」

 一人腕組みをして頷いているママッキーさんの足元で蹲って半べそをかいている律子ちゃんが俺を見上げていた。


 ……やっぱり、すごい。


 この人に色んな意味で常識っていうのを教えて上げたいが、自分の常識で動いている人なので世間の常識は無理だろうな。

 まあ、ここにいる人は俺を退けて(含めた方がいいかな?)世間の常識から少しずつズレた人間ばかりなんだろうけど、この人に勝てるのは早々いないだろう。

「じゃあ、私は帰るよ。あっ、このラジコンは返してね」
「はい、もう二度と迷惑を持ち込まないでください。あっ……ちなみに、ミサイルって何だったんですか?」
「……某お米の国の偉い人が押すのを躊躇ってしまう赤い禁断のスイッチ」

 妖しく口角を上げ、意味深な事を言って去っていったママッキーさんのうしろ姿を見ながら、俺はこの町から――いや、この国から避難する事をちょっと真剣に考えていた。