「和音さん……律子ちゃんで遊ぶのは止めてください」
「遊んでないぞ、智樹。私は妹が何たるかを教えてあげているのだっ」

 真面目な顔をして俺を見つめる和音さんは、律子ちゃんにうしろから抱きついて制服の中に手を入れて胸を揉み、そしてスカートにも手を掛けようとしていた。

 言っている事は正論だと思うのだが、やっている事は限りなく邪道だよな。そうは思っても助けないのは男の性だろうか……もう少し見ていたいのが本音だ。

「い、妹キャラはそ、そこまでしなくていけないのですかっ」
「そうだぞ。姉に、兄に、萌え遊ばれて喜ばれ……そして、そこに愛を感じてこそ一人前の妹だ!」

 ノッポの女の子が真っ赤な顔で和音さんを見つめ、それに答えるようにクワっと目を見開き、まるで悟りを開いた僧侶のように言い切った和音さん。


 ……全部間違ってますよ。


 ツッコミをいれたかったが、ペッタンコとメガネの二人はその会話を聞きながら「おおっ」と驚嘆するように声を上げてうっとりとした表情をしていた。絶対に頭がおかしいだろ……こいつ等。


「違うぞ、かずちゃん――とうっ」


 だが、そこへこの変な子達を送り込んで来た元凶が現れた。

「あっ、翔お兄ちゃん」

 その存在にいち早く気付いたのはペッタンコ。そしてメガネ、ノッポと続き、俺達の前からいなくなっていた。

「……和音さん、そろそろ律子ちゃんを離して下さい」
「やだ。揉み心地がいいからもう少し揉んで遊びたい。そ、れ、に……律子も気持ちいいだろ? ほらほら」

 和音さんに弄ばれて声も出せない律子ちゃんは顔を赤く染め、俯きながら首を横に振っていた。

「おーい、僕の事は無視ですか?」

 三馬鹿に囲まれてだらしない顔をしている変態部長が俺達に構って欲しいようだが、まったく相手にする気もないのでスルーした。