それはただ単に特徴を言っただけで、何も捻りがないんですけど。

「いや、それはちょっと……で、出来れば、名前で呼んで欲しいのですけど」

 ペッタンコと呼ばれた一番小柄な女の子が申し訳なさそうに手を上げて和音さんに抗議しようとしたが、まったく相手にしていない和音さんの一睨みで萎縮して目を逸らしてしまった。残りの二人もペッタンコに続こうとしたが和音さんの形相に目を逸らして口笛を吹いて誤魔化していた。

「何言ってんの。そんな妹キャラを勘違いしたような格好をしたお前達を名前で呼ぶのは百年早いっ」
「は、はいっ――お姉様!」

 和音さんの言葉に背筋を伸ばし、きっちりと足を揃えて三人揃って敬礼していくが、俺にしたときよりも揃っているのはどうしてだろうか? 

「それよりも、三人共一年なの?」
「は、はいっ。私達、同じクラスの仲良し三人組ですっ」

 そうか、この子達は一年生か。

 そう言えば、あいつも一年だったな……入学して一度も遭ってないけど、元気にしているだろうか。

 まあ、あいつは誰にも負けない精神の持ち主ではあるので心配はいらないと思うけど。

「そう……ふふっ、智樹。ちょっとおいで」

 少しだけ自分の世界に入っていた俺にウインクをしてついでに投げキッスという古典的な事をしている和音さんに、そこはかとなく嫌な予感がする。

 止めるべきだろうか?

 それとも面白そうなので一緒になって遊ぶべきだろうか?

 何をするのかはとても興味があるけど、”この”和音さんに何度も振り回されて大変な目に遭っているので、ここは我慢して止めておこう。

「はあ、はあ、遅れてすいま――きゃうっ」

 そんなところに息を切らせて部室に入ってきて、いつものように何もないところで躓(つまづ)き、スライディングをして俺と和音さんの間に滑り込んできた一人の女の子。