で、今に至るわけなのだが、この子達は俺の予想を遥かに越えるほどの予想外だった。

「なあ、智樹……」
「何ですか?」
「この子達は馬鹿を通り越して、アホすらも超越してると思うのだが異論はないか?」

 その言葉には激しく同意して頷き、目の前にいる変な子達に頭を抱えていた。

 古来より伝わる伝統的なメイド服を見事(?)に着こなし、頭には何故かネコミミを付けている三人組。これを何と表現していいのか分からないが、妹キャラとの関連性がまったく読めなかった。


 ……衣装選択から間違ってるよな。


 ほとんど罰ゲーム的なノリなのに本人達は至って真面目で、決めポーズを試行錯誤しているようで何やら三人で相談している。見ているこちらの方が恥かしくなってくるのは新手の拷問だろうか。

「私達のお兄様、伏峰先輩!」
「お兄ちゃんの好きな食べ物を教えてくださいっ」
「兄貴は誰が好きなのっ?」

 そこへ俺達の事などまったくお構いなしで敬礼している三人組。同時に話しているので誰が何を言っているのかさっぱり分からなかった。

 それに疑問を持っても疑問が解決しない内に三人組が話を進めるので、現在何を話しているのかも俺にはさっぱり分からなくなっていた。

「あの、少し落ち着いてくれるかな?」
「はっ、失礼しますた! お兄様、きゃはっ」

 一番小柄な女の子が敬礼しているが、何故なまっているのだろうか?

 先ほどまで普通に話していたはずだ。

 それよりも何よりも、まったく会話が成り立ってないので俺は名前すら知らないのだが、どうしたらいいのだろうかね。

「まずは自己紹介をして欲しいのだが……右から順番にどうぞ」
「別にいいんじゃないの、智樹」

 と、そこへ割り込んできた和音さんがテーブルを叩いて立ち上がり、三人組の前で――
「右から、ノッポ、ペッタンコ、メガネ。それ以外は認めないっ」
 有無を言わせない迫力で指差して言い切った。