「どこに行ってたんですか? 部長」
「ちょっと秘境に冒険しに……っくしゅ」

 くしゃみをしてだらしなく鼻水を垂らしている部長は、こう言っては悪いけど男前のオーラはゼロだった。


 ……ブサイクだな、この顔。


「真面目に答えてください」
「ともちゃん、怒っちゃやだあ。僕だって一人で覗き魔を探しに行ってたんだけど、犯人の気持ちを理解しようと思って……」
「更衣室を覗いたんですね?」
「…………はい」

 睨む俺の顔を見て引きつった笑みを浮かべ、胸の前で指を突き合わせている部長は必死に弁明をしてるが、律子ちゃんも苦笑いを浮かべて何と言っていいのか分からない様子で部長を見て同情的な瞳を向けていた。

「それでどうして濡れているですか?」
「これは室内プールで女の子達に捕まっちゃってね。『一緒に泳ぎましょうよ』って皆して抱きついてくるから、仕方なく……ね」
「馬鹿、ですね。それも救いようもないくらいに馬鹿です、大馬鹿です、宇宙一の馬鹿キングです」
「ともちゃん、そんなに馬鹿、馬鹿、言わないでよお」

 もう、なんて言葉にしていいのか分からなくなってきた。