「本当に部長なのか……見間違いという事は考えられないのですか?」
「俺が見たわけではないから何とも言えないが、『海藤翔が女子更衣室前から走り去るのを見た』と言う証言があるからこうして本人に確認をしているわけだ」
力いっぱい肯定している中川先輩の目は嘘を吐いてはいなかった。しかし、ここまで落ち込んでいる部長を見る限り、本当に知らないだろう。そうなるとその証言をした人物に聞いてみるのが一番早そうだ。
「それで、その証言をした人って言うのは誰なんですか?」
「知らん」
「……はい?」
「だから知らないと言っているのだ。この証言は風紀委員会に密告メールで届いたもので――そうだ、これがその証拠だ」
と、制服のポケットから何やら取り出してテーブルの上に叩き付けるように置いていた。
「これは……写真?」
「ああ、メールに添付されていた画像をプリントアウトしたもので、翔が覗きをしている証拠写真だ」
テーブルに置かれた写真を手に取ると、律子ちゃんと和音さんもそれを見ようと覗き込んできたが、両端から甘い香りが漂ってきて、しかも両肩に柔らかい感触が触れている。
普通の男ならここで狼にでも変身して襲っているところだろうけど、俺はそんな弱い精神はしてない。
別に俺が性的不能者というわけでも女性に興味がないわけでもなく、事後を考えれば考えるほど色々と面倒になるような事は避けているだけである。
決してヘタレではない……それだけは断言しておこう。
「確かに海藤だな。とうとう、ここまで落ちぶれてしまったか……この変態男は」
「あわわっ。海藤先輩が……海藤先輩が覗きをしてますっ」
和音さんと律子ちゃんは写真を覗き込みながらまったく違う反応を見せていたが、その横から更に部長まで写真を覗き込んで呆然としていた。
「う……嘘だっ。僕は昨日はこんなところに行ってないし、本当に知らないんだよっ」
叫びながら床を叩いている部長の姿は競馬で大負けした親父のようでかける言葉すらなく、惨めな限りだった。
俺は誰にも聞こえないように小さくため息を吐いて写真を見つめていたが、その写真の中に違和感を覚えた。
「俺が見たわけではないから何とも言えないが、『海藤翔が女子更衣室前から走り去るのを見た』と言う証言があるからこうして本人に確認をしているわけだ」
力いっぱい肯定している中川先輩の目は嘘を吐いてはいなかった。しかし、ここまで落ち込んでいる部長を見る限り、本当に知らないだろう。そうなるとその証言をした人物に聞いてみるのが一番早そうだ。
「それで、その証言をした人って言うのは誰なんですか?」
「知らん」
「……はい?」
「だから知らないと言っているのだ。この証言は風紀委員会に密告メールで届いたもので――そうだ、これがその証拠だ」
と、制服のポケットから何やら取り出してテーブルの上に叩き付けるように置いていた。
「これは……写真?」
「ああ、メールに添付されていた画像をプリントアウトしたもので、翔が覗きをしている証拠写真だ」
テーブルに置かれた写真を手に取ると、律子ちゃんと和音さんもそれを見ようと覗き込んできたが、両端から甘い香りが漂ってきて、しかも両肩に柔らかい感触が触れている。
普通の男ならここで狼にでも変身して襲っているところだろうけど、俺はそんな弱い精神はしてない。
別に俺が性的不能者というわけでも女性に興味がないわけでもなく、事後を考えれば考えるほど色々と面倒になるような事は避けているだけである。
決してヘタレではない……それだけは断言しておこう。
「確かに海藤だな。とうとう、ここまで落ちぶれてしまったか……この変態男は」
「あわわっ。海藤先輩が……海藤先輩が覗きをしてますっ」
和音さんと律子ちゃんは写真を覗き込みながらまったく違う反応を見せていたが、その横から更に部長まで写真を覗き込んで呆然としていた。
「う……嘘だっ。僕は昨日はこんなところに行ってないし、本当に知らないんだよっ」
叫びながら床を叩いている部長の姿は競馬で大負けした親父のようでかける言葉すらなく、惨めな限りだった。
俺は誰にも聞こえないように小さくため息を吐いて写真を見つめていたが、その写真の中に違和感を覚えた。


