「僕、そんな事してないよ。ねえ、僕そんな事しないよね? ねっ、ねっ」
身に覚えのないらしい部長は一生懸命こちらに話を振って来るが、思い浮かぶのは更衣室を覗くスケベな部長の顔だけでそれ以外の姿は浮かんでこなかった。
それは和音さんも律子ちゃんも同じようで俺達は顔を見合わせて首を横に振っていた。
「ノーっ! 僕は覗きなんてしてないよ。どうして皆信じてくれないんだよっ」
いや、いつもの行動から察するに信用ゼロだと思うのですが。
男前のくせに自制心が効かないからいつかはと思っていたけど、やっぱりやってしまったんだな……この人は。
「覗きとは最低だな、海藤……一辺死んで、ワンと鳴け」
「ワン、ワンっ――じゃなくて! 僕は覗きなんてしてないぞっ、和音」
「呼び捨てにするな、気色悪いっ」
掛け合い漫才を繰り広げる部長と和音さんの息はピッタリである。この二人って意外とお似合いなんだけど、何で付き合わないのだろうかね。
と、話が逸れたから元に戻して……。
「中川先輩、それはいつ起こったんですか?」
「ん? それは企業秘密だ」
これまた、意味が分かりませんが……。
「と、言うのは冗談だ、はははっ。実はな――昨日、二年三組が三時限目の体育が終わって着替えているところを覗いた不届き者がいるんだ」
そう言いながら部長を睨む中川先輩。その顔で睨むと子供はおろか、大人ですら失神しそうだ。
「だから、僕は知らないって。僕がそんな事をしないのはたくちゃんが知ってるでしょ?」
「だが、現にこうして証拠があるんだぞ? それに、お前がその更衣室の近くから走り去るのを見たヤツがいるんだっ」
「だから、僕はそんなところに行ってないって」
肩を落として明らかに落胆している部長はしゃがみ込むと、いじけた様子で床に"の"の字を書き始めていた。惨めな事極まりなく普段なら気に留めないが、さすがに今回の事はかわいそうになってきた。
身に覚えのないらしい部長は一生懸命こちらに話を振って来るが、思い浮かぶのは更衣室を覗くスケベな部長の顔だけでそれ以外の姿は浮かんでこなかった。
それは和音さんも律子ちゃんも同じようで俺達は顔を見合わせて首を横に振っていた。
「ノーっ! 僕は覗きなんてしてないよ。どうして皆信じてくれないんだよっ」
いや、いつもの行動から察するに信用ゼロだと思うのですが。
男前のくせに自制心が効かないからいつかはと思っていたけど、やっぱりやってしまったんだな……この人は。
「覗きとは最低だな、海藤……一辺死んで、ワンと鳴け」
「ワン、ワンっ――じゃなくて! 僕は覗きなんてしてないぞっ、和音」
「呼び捨てにするな、気色悪いっ」
掛け合い漫才を繰り広げる部長と和音さんの息はピッタリである。この二人って意外とお似合いなんだけど、何で付き合わないのだろうかね。
と、話が逸れたから元に戻して……。
「中川先輩、それはいつ起こったんですか?」
「ん? それは企業秘密だ」
これまた、意味が分かりませんが……。
「と、言うのは冗談だ、はははっ。実はな――昨日、二年三組が三時限目の体育が終わって着替えているところを覗いた不届き者がいるんだ」
そう言いながら部長を睨む中川先輩。その顔で睨むと子供はおろか、大人ですら失神しそうだ。
「だから、僕は知らないって。僕がそんな事をしないのはたくちゃんが知ってるでしょ?」
「だが、現にこうして証拠があるんだぞ? それに、お前がその更衣室の近くから走り去るのを見たヤツがいるんだっ」
「だから、僕はそんなところに行ってないって」
肩を落として明らかに落胆している部長はしゃがみ込むと、いじけた様子で床に"の"の字を書き始めていた。惨めな事極まりなく普段なら気に留めないが、さすがに今回の事はかわいそうになってきた。


