評論家が新製品を評価したりしている事があるけど、あれは本当に新製品に触れて体験しているのか気になってしまうものだ。それにどのくらいの期間試用したのかによってもその評価の信憑性が変わって……いや、こんな話はどうでもいいか。

「それでだ。これが問題の人影だが、映像を鮮明に加工しているので分かりやすくなってるさね。ついでに別の映像で説明すると、ほれっ――こんなにリッコ―のパンツがクッキリと見える」

　そこには廊下で転んで目を回している律子ちゃんのパンツが、シワまでクッキリと……。

「きゃあ、きゃあっ、見ないでくださいっ」

　まあ、当然の反応をしている律子ちゃんをよそに楽しそうなママッキーさんは「シワシワパンツ」と妙な歌を口ずさみながら、更にズームして拡大していた。

　最初からこの機能を使って説明してくれたら分かりやすいのに、ママッキーさんの事だから色々と自慢したいのだろうな。俺達が驚く様子に満足した顔を見せているし、質問してくるのを待っているような節もあるし。

「で、映像を戻して――これが問題の人影エックスさね」
「確かに人影がハッキリしましたけど、これはママッキーさんでは？」
「軽くこちらを無視して確信をつくとは、さすがはトモキン。それはまさしく私……って、なんでやねんっ」

　微妙なテンポでノリツッコミをいれてくるママッキーさんはちょっと恥かしそうだった。

　慣れない事はするものではないですよ。裏拳ツッコミなんて芸人でも過酷な訓練が必要な高等テクを素人が使うなんて無謀ですからね。俺はこれでも頑張って通信教育（テレビのお笑い番組ですけど）で覚えたので、スナップを効かせた裏拳ツッコミが出来るのですよ。