「な、何……この人達?」
「さあ、なんだろうね」
「もしかして、この人達が私を……」

 映像を見ながら怯えたように自分の肩を抱きしめていく律子ちゃんを、ママッキーさんは映像を解説しながら優しく抱き寄せていた。

 中庭の中央辺り、一本松のフェンス近くで抱えている律子ちゃんを下ろして植え込みへ隠した覆面集団は、一本松を囲むフェンスに何やらしていたが驚いたように振り返って走り去って行った。

 こいつ等が律子ちゃんをさらっていった犯人か?

 食堂の入り口に落ちていたあの紙を覆面達が残したものと判断していいのか?

 それに、顔が見えないので覆面達を男だと判断するのは早計だと言うものだ。女子が男子の制服を着ている可能性もあるわけだし、律子ちゃんくらいの体重なら女子でも数人集まれば抱える事も出来るだろう。そうなると、色々な観点から物事を見ないといけなくなるわけだ。

 それに和音さんが焼却炉の近くで見たという覆面集団と、この集団が同じ人物達なのかは俺には分からない。

「……そろそろかな。リッコ―、ここをよく見て欲しい」

 と、画面右上を指差しすママッキーさんにつられて俺と律子ちゃんはそこを食い入るように見つめていた。

「あっ……私が出てきた」

 映像は有刺鉄線とフェンスに囲まれた中にある切り株に焦点があっている映像が、その横にある植え込みに動いていき、横たわっている律子ちゃんの足元から少し離れた場所に忽然ともう一人の律子ちゃんが姿を現した。