「では、ゆっくり食べてください。失礼します」
「ん? そうか。ああっ、ちょっと待て男女、伏峰ちゃん」
聞き流そうと思ったけど二度も言われるとさすがに頭にきた。
静かに大熊猫(中川先輩)の背後に立ち、すっと箸立てから割り箸を一膳取り上げ――
「俺は男です。断じて女ではありません」
紙の袋を投げ捨て、割らない程度に両手を使って箸を広げて耳たぶをロックオンしたとこで勢いよく手を離す。
「ぎゃあ! いだだっ――いきなり何をするんだ、お前はっ」
これは地味に痛いので嫌がらせには打って付けである。
「今回は注意なので終わりますが次は手加減を一切しませんし、躊躇する事なく割り箸を鼻に突っ込みます。それから――」
ビシっと決めようと一歩前に出ようとしたところで――
「今度トモ兄ちゃんに変な事言ったら、全力で鼻の奥まで割り箸突っ込んでやるから覚悟しなさいっ」
何故か俺より一歩前に出て、中川先輩に指を突きつけて言い切っていた。
……俺の出番は?
ここぞって決め台詞まで取られてしまっては俺の立つ瀬ってものがない。別にどうでもいい事かも知れないが、これでは俺の怒りってものが収まりきれないのだが。
「トモ兄ちゃんを男女って呼ばないでください。トモ兄ちゃんは、れっきとした立派なものを持った――あたっ」
「余計な一言は言わないように」
「だって昔は一緒にお風呂も入ったし、それから考えれば今は立派なものが――きゃうっ」
だから、余計な一言は女性として慎みなさいって。
勉強は出来ても言っていい事と悪い事の区別がつかないのでは意味がない。それに目の前にいる人に聞かれたら誤解を受ける事間違いないのに……そう思っていたのだが、どうにも大熊猫先輩の様子がおかしかった。
「か……可愛い」
その顔は恋する乙女のように輝く瞳をコハルに向け、その口からは絶対に似合わない言葉を呟いた中川先輩は、コハルを見つめて「可愛い」を連呼して一人で悶えてた。
「ん? そうか。ああっ、ちょっと待て男女、伏峰ちゃん」
聞き流そうと思ったけど二度も言われるとさすがに頭にきた。
静かに大熊猫(中川先輩)の背後に立ち、すっと箸立てから割り箸を一膳取り上げ――
「俺は男です。断じて女ではありません」
紙の袋を投げ捨て、割らない程度に両手を使って箸を広げて耳たぶをロックオンしたとこで勢いよく手を離す。
「ぎゃあ! いだだっ――いきなり何をするんだ、お前はっ」
これは地味に痛いので嫌がらせには打って付けである。
「今回は注意なので終わりますが次は手加減を一切しませんし、躊躇する事なく割り箸を鼻に突っ込みます。それから――」
ビシっと決めようと一歩前に出ようとしたところで――
「今度トモ兄ちゃんに変な事言ったら、全力で鼻の奥まで割り箸突っ込んでやるから覚悟しなさいっ」
何故か俺より一歩前に出て、中川先輩に指を突きつけて言い切っていた。
……俺の出番は?
ここぞって決め台詞まで取られてしまっては俺の立つ瀬ってものがない。別にどうでもいい事かも知れないが、これでは俺の怒りってものが収まりきれないのだが。
「トモ兄ちゃんを男女って呼ばないでください。トモ兄ちゃんは、れっきとした立派なものを持った――あたっ」
「余計な一言は言わないように」
「だって昔は一緒にお風呂も入ったし、それから考えれば今は立派なものが――きゃうっ」
だから、余計な一言は女性として慎みなさいって。
勉強は出来ても言っていい事と悪い事の区別がつかないのでは意味がない。それに目の前にいる人に聞かれたら誤解を受ける事間違いないのに……そう思っていたのだが、どうにも大熊猫先輩の様子がおかしかった。
「か……可愛い」
その顔は恋する乙女のように輝く瞳をコハルに向け、その口からは絶対に似合わない言葉を呟いた中川先輩は、コハルを見つめて「可愛い」を連呼して一人で悶えてた。


