「チェスト! 来るな、うっとうしいっ」
「はがっ、ちょっ……何か出るっ」

 まあ、予想通りというか正拳一発で沈んでいく部長が俺の横を吹っ飛んでガラスにぶつかる音が聞こえた。


 ……所詮こんなものか。


 大魔王の怒りを静めるために生贄となってもらったのだが、まったく役に立たずに消えていった勇者見習い寸前。

「ああ……あなたは翔様になんて事をするんですかっ」
「別にいいじゃない。それより、なんで私をあんな部屋に閉じ込めたのか理由(わけ)を聞かせてもらおうかしら」

 小さく「うぐっ」と声を上げた副生徒会長が俺に助けを求めるよな視線を向けてくるが、軽く受け流して律子ちゃんとコハルを連れて帰ろうとしたが、こっちもこっちで不穏な空気になっていた。

「梅津律子、あんたはトモ兄ちゃんと親密な関係になりたいって思ってるでしょ?」
「え、あ……あの、コハルちゃん」
「コハルちゃんじゃない! 私の事を呼ぶ事は『コハル様』と呼びなさいっ」

 女王様降臨す……って感じだな。

 しかし、なんでコハルはここまで律子ちゃんに固執しているのだろうかね。それに俺の名前が出てくるのも気になるけど。