別れを切り出されたのは一ヶ月前。

「別れたい」

喧嘩の最中だった。はじめはいつもの冗談だと思っていたけれどちがった。何度聞いても黙っていた。


「嘘でしょ?」

「ごめん、もう無理なんだ」


目の前が真っ白になった。

隆也と付き合ったのは4ヶ月前。好きになったのは1年前。


「終わり…ってこと?」

「そう」


隆也はごめん、と呟いた。

告白してきたのは隆也から。地元を出てすぐに会った時にいわれた。私と同じ時期から隆也も私のことが好きだったらしい。付き合いはじめて4ヶ月、喧嘩もした、嫌なところも沢山あった、けれど隆也といる毎日が幸せだった。それなのに

なぜ?



「好きな人、できた?」

「ちがう」


なら、どうして


「私?」

「…疲れたんだ」

「どうしてはやく言ってくれなかったの」

こんなにいきなり言われるくらいならもう少しはやく教えて、気づかせてほしかった

「ごめん」

「本当にやりなおせないの?」

「ごめん」

「お願いだから」

「めんどくさいんだ、もう」


別れ話をされて、お願いだからと、悪いところはなおすからと、縋る女の気持ちが正直分からなかった。でも、いまなら分かる。

私も同じ、めんどくさい 女


散々泣いて、何度も何度も説得しようとしたけれど隆也の思いは変わらなかった。
どうしてもっと、答えを出す前に言ってくれなかったのだろう。

その日は隆也の家に泊まる予定で、もう終電も無かった。私は隆也を説得するのを諦めた。泣いて、泣いて、今更だけれど、最後は良い彼女でいようとした。



「ねえ、隆也、

ちゃんと別れる。

今までありがとう


ちゃんとさよならするよ



だから、」