日が沈み、ロウソクに火が灯された頃、

城の中は更に騒がしくなっていた。


「実次は、捕らえた!!緑は何処におるっ!!?」


次第に嫌な寒気が体中を走る。


「模範を起こした者の息子であるぞ!!確実に仕留めよっ!!!」


もはん…?
もはんとは…、なんじゃ?

もはん…も、模範ーー。


ーーーー…裏切り。



実次がか?



いてもおられず、私は部屋から飛び出した。


そこには、実際に戦など見たことはないが、まるで戦場であった。


「緑はどこじゃぁぁぁぁっ!!!」

弓や、剣、槍を持った男達がたった1人の少年を探すのに血眼になりながら駆けずり回っている。


緑?


「見つけ次第打首じゃぁぁっ!!」

緑っ!!!


何処じゃ!?

何処におるっ!?

「打首など生ぬるいわ!腸えぐって馬の餌にでもしてくれようぞっ!!」


緑っ!!!!


いてもおられず父上のもとに向かった。

一体何が起こったというのじゃ?
何故、緑が殺されねばならんのじゃ!?


王の部屋の大扉をいきよいよく開けると、

実次の体は縄でグルグルに縛られており、父上は剣を片手に実次の前に立っていた。


「ち、父上…、これは一体…。」

「翡翠っ、おいっ!下げさせろ!?」

「父上っ!!ち、父上っ!!?」

男2人に担ぎ挙げられいとも簡単に部屋から追い出されてしまった。

扉が閉まる直前に何かをぶっ刺す濁った音がした。



再び奥の間に追いやられたが、体はぶるぶると震えている。
何が起こっておるのだ?
緑は無事なのか??
実次は、…死んだのか?
そもそも模範とは何があったのじゃっ!?

分からぬことばかりで体を丸めて夜が開けるのを待った。