「そ、ら……っ…そらぁ」
「泣い……てちゃ、駄目、だ……よ」
「だって……。だって、だってっ」

 駄々をこねる子供のように、首を振るみゆき。

 本当に、こんな僕を愛してくれてありがとう。

 言葉では感謝しきれないくらいの思いをありがとう。


「みゆ。き……」


 もう一度だけ、みゆきに触れたい。それが叶わなくても……。

「愛してる。だから――」

 そっと唇を重ねる。僕の思いをのせて、今までの愛をこめて。


「……ありがとう」


 意識が遠のいていく感覚。

 体が軽く、浮き上がるようだ。

 どうやら、もう時間らしい。

 もっと一緒にいたかったよ。

 みゆき、僕は幸せだったよ。

 君も幸せだったのかな?

 僕達の思いが同じなら嬉しいよ……。

「そら……そらぁ……。私……がんば、る……から」

 流れ落ちる涙を拭い、僕を見るみゆき。


「……愛してる。空……ありがとう」


 最後に見たのは、僕の大好きなみゆきの笑顔だった。