〈玲香side〉
私ははっきりいって友達を作るのは苦手だ。
小、中と過ごしてきて何でも話せる友達はつぐみただ1人。私だって本当はもっと友達が欲しい。ただ素直に成れないだけなんだ…。

高校の入学式、つぐみとやって来た私は、クラス発表に群がる人混みにうんざりしつつも早く見たい一心で無理やり割り込んだ。誰か突き飛ばしてしまった。つぐみが代わりに謝ってくれたけど、私はごめんの一言を出せなかった。いや、出そうとしなかったんだ…。

入学式後、クラス内で自己紹介が行われた。私はこの自己紹介が大嫌いだった。皆、白鳥に反応するから……
「白鳥 玲香です。 よろしく」

すると案の定、1人の生徒が私が白鳥財閥の令嬢だと気付いてしまった。すごいだの言われているけど、別に嬉しくも何ともない。私がすごい訳ではないから。

令嬢だと知られてしまうと、皆よそよそしく私に接する。腫れ物を扱うかの様に、私の顔色を伺いながら。
普通の友達が欲しい。ただそれだけなのに……