斉藤くんに「好きだ」と言われた日は夜眠ることができなかった。
一夜明けてもまだ思いだすだけで鼓動が加速する。
顔が熱くなって恥ずかしい気持ちと、でもあのときのうれしい気持ちが交差する。
本当にいろいろあった。
あんなに誰かの前で泣いたのは初めてだよ。
「紗柚!
早く起きて準備しなさい」
ベッドでゴロゴロしながら考えていたけど、お母さんの声でしぶしぶ動き出す。
そのまま準備をして家を出た。
お母さんと紗耶にはこのことを話していない。
私が自分で答えを出さなきゃ意味がない。
倉橋くんのことはさすがに待たせすぎてるから、もう返事をしよう。
決めなきゃ。
自分の気持ちを。