そうお願いする前に、斉藤くんの私に回した手の力が強くなった。



「好きだ、紗柚」




やばい。

本当に?


斉藤くんが私のことを?



ドキドキして止まらなくて、斉藤くんの顔が見たくて肩を押す。




「……顔が見たい、です」


「だめ」


「お願い」


「まだこのまま」



そんなこと言われたらもうなにも言えない。


バクバクする心臓を感じながら、斉藤くんの背中に手を回した。



こんなに気持ちが浮き沈みするのは、斉藤くんに対してだけかもしれない。