まだ、出て行ってなかったのか。 私と目が合った子は、その瞬間に「あっ」と声を上げた。 「あれ、あんたコイズミじゃない?」 「えっ、あの…」 私は何と返せばいいのか分からなかった。 「…はい、小泉です」 「うっそ、マジ? もしかして今の話、聞いてた?」 「はい、すみません」 「いや、謝んなきゃいけないのはアタシらだし」 「そんなこと——」 「ほんと、ごめん。…でも、全部本音だから」 それだけ言うと、彼女たちは出て行ってしまった。