それから3日間葉山は送ってくれたけど、あの男がいる様子もついて来ている気配もなかったため、送ってもらうのはやめることにした。

「加奈!」

社食でトレイを持って追っかけてきたのは友香だ。

「よかったね、大ごとにならなくて」

「うん、葉山貸してくれてありがとう。助かった」

「あんなんでも、役に立てたならよかった」

私たちの向かう先では真衣がすでに定食を食べていて、私たちに気づいてもぐもぐと口を動かしながらじとっと睨んだ。

「お待たせ」

「ちょっとお、どういうことだったの?」

「友香から聞いたでしょ?」

「まあ大体」

噂が広まるのも困るし、きっと友香が真衣にうまく話してくれたんだろう。

私のほうも、大ごとにしたがる前田さんに、葉山にはちゃんと彼女がいるんだということを話した。

その彼女が私の友人で、葉山にボディガードをするように言ってくれたことも。

前田さんは急に興味を失ったようで、なーんだ、とつまらなそうに席に戻って行った。