「…葉山には、同期の彼女がいるの。
彼女の勧めでボディガードしてくれてるだけだから、あと2,3日、一緒に帰ってもらうと思うけど」

本当なら、これが別れる口実としてちょうどよく使えたかもしれないのに。

葉山のことを好きになったって。

二股をかけていたんだって。

だからもう別れようって。

事実は違うにしても、あとで友香と葉山に協力をお願いすればいい。

そうやってひどい別れ方をして秋を傷つけて、私は仕事を辞めてしまえば何のあと腐れもない。

社長も早くそうなることを望んでいるだろう。

…なのに、私にはできない。

今はこの腕を離したくないし、離してほしくない。

ずっと抱きしめていてほしい。