不意にソファから降りた秋が、私の腕を掴んでラグの上に押し倒した。

眉を顰めた秋の目が、戸惑う私を射貫くように見つめる。

こちらが言葉を発する前に唇を塞がれた。

繰り返される乱暴なキスにクラクラしながら、コーヒーのせいで熱くなった舌が秋の舌を温めて同じ温度になっていく。

やっと唇が離れたとき、私の心臓はうるさいくらいに早鐘を打っていて、息も上がっていた。

「…言ってる理屈はわかってるんだよ。
加奈を信用してないわけじゃない。
なのに、バカみたいって思うだろ。
こんなことで俺、狂いそうなくらい嫉妬してる」

きつく抱きしめられ、いつもと違う余裕のない低い声が耳を震わす。

…バカは私のほうだ。

こんな言葉ひとつで秋が愛しくてたまらなくなる。

秋を失いたくなくなる。