『親への挨拶とか色々あるけど、もう勇人はとっくに親公認だからさ。
多分、式は春にすると思う。
籍を入れるのは交際記念日かなー』

「1月の…中旬くらいだっけ?」

『そう!』

「そっかあ、楽しみだね」

その頃、多分私は秋と別れてひとりぼっちなんだろうな。

自分のことに結びつけて考えてしまって、黒い渦が心の中から消えない。

電話を切って、無意識にため息が漏れた。

おめでとうなんて言いながら、心から祝福できない自分に嫌気がさす。

ごめんね、恵理。

ちゃんと祝福できるようになったら、会って直接おめでとうを言うから、今は許してほしい。

電子レンジで温めたコンビニのおにぎりは、電話をしている間にすっかり冷めてしまったようだ。

なぜかもう見るのも気持ち悪い。

そもそも無理やりにでも何か食べなきゃ参ってしまうと思って買って来ただけで、食欲がないのには変わりないのだ。

ゴミ箱に投げ捨てたけど、気持ちが晴れるどころか罪悪感しか残らなくて、涙が滲んだ。