シルバーウィーク最終日の日曜、大学時代からの友達である恵理と待ち合わせをしていた。

恵理は私と秋が出会った合コンの幹事をしていた、いわばキューピットだ。

恵理が暮らすマンションは私のアパートから電車で一本のため、中間の駅にあるカフェで会うことが多い。

テラス席から見える空は鱗雲が広がってすっかり秋色だ。

「あったかくて眠くなるねえ」

食後のコーヒーを飲みながら呟く私に、恵理はケラケラ笑う。

「加奈、発言がおばあちゃんみたい」

「んーおばあちゃんまではいかないけど、恵理よりはおばさんだよ?」

「いや、歳同じじゃん」

「そうだけど、若々しさが全然違うよ。
私みたいな平凡なOLと違って」

「まあ服装は周りよりちょっと派手だけどね」

恵理は大手企業に就職したのに、一年間OLをしたあとあっさり退職し突然ダンサーに転向した。

そのアーティスティックな職業のせいか、彼女はとても個性的な格好を好む。

ごついアクセサリーや真っ赤な革のジャケット、膝から大きく擦り切れたGパン。

髪の毛も、この前会ったときは金髪だったけど、今回は赤くなっている。

さっきからテラスのそばを通っていく人たちの視線を痛いほど感じるのは、ブラウスとスカートの地味な格好の私と恵理が一緒にいるのがミスマッチに見えるからかもしれない。