『加奈のアパートに寄ってくるね』

仕事を早めに片づけて、葉山にメッセージを送った。

加奈のアパートは、私のアパートからは自転車で10分くらいの距離だ。

住む場所にこだわりがないというから、なるべくすぐに駆け付けられる場所に部屋を借りてもらったのだ。

加奈をひとりにしておくのは心配だったから。

合鍵は加奈から預かってあった。

疲れていたのか、昨日少し熱っぽく、だるそうにしていたから、帰りに様子を見に来る約束をしていたのだ。

「…加奈?入るよ?」

おずおずと中に入ると、加奈はベッドで布団をかぶって眠っていた。

額にそっと手を当ててみる。

もう熱はなさそうだ。