「好きです。」


「無理です。」


7月のとても暑い日の放課後。


私の初恋は呆気なく終わった…


なんて結末は絶対に信じない。


私の高校生活は素敵な彼氏とリアルに充実すること。


振られるなんて絶対にダメ。


「その返事が無理です。」


「は?」


物凄く怪訝な顔をする新崎 司(アラサキツカサ)。


うん、今日も輝いている。


「私、新崎君が好きです。」


「だから、無理です。」


間髪いれずに断ってくるものだから、私も何も言えない。


なんてことはまずない。


私の長所は、へこたれないこと。


「なんでですか?」


「だって俺、君のこと知らないし。


君も俺のことよく知らないでしょ?」


「…知ってますよ?」


「は?」


好きな人のことを知るのは当たり前だ。


私は制服のポケットを探り、あるノートを取り出す。


「新崎司、高校一年生。


身長176㎝、体重67㎏、座高82㎝。


誕生日は10月21日、家族は年齢不明の父親、母親、21歳の姉が一人と、柴犬のレオ。


最近、中学2年生の時から付き合っていた彼女に浮気されたことから女性不信になりかけている。


冷たく思われがちだが、とても優しい性格。


レオも、保健所に連れていかれるところを引き取った。


それと…」


「もういい。」


私の言葉は新崎くんの低い声で遮られた。


「もういいんですか?」


「…なに、君、ストーカーなの?」