はづき「この辺りだけど…」

牛沢「いなくね?」

はづき「おかしいな…」




「なぁ、はづき。そいつら誰」



どこからか聞き覚えのある声が聞こえる。

はづき「えっ?」


「お前らのことだよ!」


そういってその声の主は私の隣にいたガッチさんに斧の柄で殴りかかった。

ガッチ「………くっ…」

横腹を殴打したようで赤黒くなっていた。

はづき「ガッチさん!…ちょっと誰……あ…」

その声の主は私のよく知っている人だった。

はづき「…ゆ、ゆうと……なんで…」

牛沢「友達か?」

はづき「…うん」

ゆうと「はぁ?友達?ふざけんじゃねぇよ!!お前は俺らをはめたんだろ?そいつらと一緒に!!」

はづき「えっ?ちが…」

ゆうと「この状況でなんで違うって言えんだよ!どう見てもそうだろうがよ!」

ゆうとはもう狂ってしまっていて、正常な判断もできないようだった。

レト「俺らもこの騒ぎに巻き込まれただけだけど?」

ゆうと「お前こいつを庇うのかよ。じゃあグルなんだな」

キヨ「お前さっきから何言ってんの?」

ゆうと「お前らみんなグルなんだな。そうなんだな。」

キヨ「ダメだ、全然聞いてねぇ」

ゆうと「こいつが始めたことだっていうことは…」

そういうとゆうとは私を自分の方へ引き寄せ首に腕を回し、斧を首に向けた。

はづき「なっ!」

ゆうと「こいつを殺せば終わるってことだ」

ガッチ「ちょっ!やめろ!」

ゆうと「近づくな!近づいたらこいつ殺すぞ」

牛沢「待て、早まるな。はづきは俺らに危険を知らせてくれたんだ」

レト「だから一緒に行動を」

キヨ「それに、こんなに騒いでたら音聞きつけてジェイソン来ちゃうよ」

ゆうと「はぁ?こいつが仕組んだんだ。来ねぇよ。どうせさとるが邪魔だったんだろ?殺したいほど」

はづき「ちがっ…ちがうってば…」

ゆうと「うるせぇ!!」

ゆうとは斧の刃をぐっと首に近づけた。

はづき「……痛っ」

首が少し切れ、血が滲んでいるようだ。

レト「もうやめてよ…」

ガッチ「やめろ…やめろよ!!」

ゆうと「!?」

ガッチ「はづきが違うって言ったら違うんだろうがよ!怪我負わせるなよ!離せ!!」

そう言うと同時にガッチさんはゆうとに向かっていき、羽交い締めにした。

ゆうと「なに、して!!おい、離せよ!」

驚いたゆうとは斧も落としてしまい、ガッチさんによって動きは止められてしまった。

その隙にレトさんが私を助けてくれた。

その時



ーーーーーーザザッ



はづき「!?」

ジェイソンが目の前に現れた。

そして、羽交い締めにされていたゆうとの首を掴み、握り潰そうとしている。

ゆうと「……がはっ…」

ガッチ「逃げるぞ!」

はづき「あ、ああ……」

私は言葉を失い、動けなくなってしまった。

レトさんに手を引かれ、引っ張られるままに進んでいった。

レト「はづき!はづき!」

レトさんが呼びかけてくれているのが遠くの方で聞こえる。

友達に裏切られた。友達が仲間を傷つけた。友達に傷つけられた。友達が殺された。友達が友達が友達が…


はづき「…うっ…うっ…うわぁぁぁん」

とうとう泣き出してしまった。

レト「はづき!?」

驚いたレトさんは私をおぶって建物まで逃げてくれた。