このときは、思わなかった
時が近づいてるなんて…



『ただいまー!』

「おかえり」

『あっ、お父さん!おかえり』

「ただいま、そこに座りなさい」

『はい』

ん?なんでだろう?テストで悪い点取ったわけでもないし…

「あのな…」

『ん?なに?』

「美海も、もう16歳だし…この人と結婚してもらいたい」

『えっ!?…それって、戦略結婚ってこと?』

「まあ、そうなるな」

実は、私のお家ちょっとお金持ちでおじいちゃんの代から会社を経営してる
その影響で、いつかはって思ってた
でも、こんなに早くなんて…

『でも、私…あのね…』

「叶翔くんが好き…なんだな?」

『うん…でも、結婚を受けたらもう叶翔とは…会えないの?』

「会えるだろうけど…初対面のふりをしないといけないな…ごめんな…」

『でも、もう決まったことだし
 覚悟はしてたから…でも、1週間…1週間だけ待ってください…それまでにちゃんとします…』

「そうか…」

はぁ…叶翔に会えない…
そんなの考えたことなかった…
昔、お父さんに言われたことがある
「美海…美海は、人を好きなっちゃいけないよ…時が来るまではね」
そっか、きっとその時が今なんだ…

でも、無理だよ…
だって、叶翔を好きになっちゃったから…

ふぅ、空でも見よっかな…
気分が晴れるかもだし…って無理か…