だからって、諦めるわけにはいかない。
『なんで、キミは……僕が謝る前に出ていくの』
驚いたように、バッと顔を上げる彼女。その顔がかわいくて、つい笑う。
「真琴くん!」
『ごめん。僕、キミを傷つけた』
そう言うと、彼女はさっきよりも輝く無邪気な笑みを見せた。少し、顔を赤く染めて。
「いいよ!あたしは」
涙が浮かび上がり、指先でふく。
ああ、彼女は不思議な子だ。
そして、僕の大好きな友達だ。
ねえ、だから……
『梨奈、キミのこと知りたい』
「え?真琴くん?何言ってるのー!ナンパー?」
『ナンパだとしたら、もうとっくに他をあたってるよ』
「え?!ひどい!」
クスッと笑い零し、彼女の横顔を見つめる。
彼女は、嘘をつくのが苦手みたいだ。


