「変わって、ないね…。」



そう言って彼女は笑った。




これだ。




ずっと、



ずっと僕がみたかった笑顔。





『先生!もう時間だから私帰るね!』



『わかった。じゃあね。』




少女は宮川にそう言ってから僕にも手を振ってから帰った。




「あのさ、ちょっと話せる?」




僕がそう言うと彼女は頷いて、近くのベンチに座った。



僕は少し間を開けて座った。





聞きたいことは山ほどある。




なのに、何から話せばいいから分からない。




「医者になったの?」




僕が悩んでると彼女が先に話しかけて来た。




「うん。」




「普通にサラリーマンになってると思ってた。」




「だって、あの時言ってたじゃん。人の役に立つ仕事についた方がいいって。」




「まだそんなこと覚えてたの?」




そう言って彼女は笑う。




「あのさ…」



プルルルッ!プルルルッ!




「ちょっとごめん。」



僕が話しかけた時、ちょうど宮川の携帯が鳴った。




「ごめん、なんだった?」




「ううん、なんでもない。」





「ごめん、会社に戻らないと…。」




「そっか。」




なんで、あの日居なくなったの?





そう言おうとした。





でも、なぜか聞いたら聞けない気がした。




「ねぇ!」



「ん?」




「また…、会ってくれますか?」





彼女は少し経ってから笑顔言った。





「もちろん!」