ら

｢...つまんない｣

思わず私が漏らした言葉は誰の耳にも入ることはなく消えていく。
誰もいない放課後の教室で1人、窓から外をぼんやりと眺めていた。


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「ねぇねぇ莉音(りお)！ちょっと聞いてよ〜！」

「どうしたの美琴(みこと)。そんな慌てて」

私は向井莉音(むかいりお)。そして今話しかけてきたのが佐藤美琴(さとうみこと)。

美琴は背が低くて可愛らしく、また、肩よりも少し長いセミロングの髪を下ろしていて、ふわっとした印象を放っている。実際に性格もとても優しく、笑った顔はまるで天使のようだ。

だが運動となると、彼女の柔らかい雰囲気とは打って変わって、まるで別人のような雰囲気を放つ。そのギャップには誰もが心を打たれることだろう。そのため、彼女は皆に密かに“憧れの的”として皆からの支持を得ていた。

そんな彼女に似ても似つかない私は、背が高く、長い髪を下ろしている。
運動は全くと言っていいほどできず、なぜか皆に｢運動ができそう｣と思われていた期待を裏切ることとなっている。まあ、背が高いし、ここしか取り柄がないといってもいい｢勉強｣ができるから、｢クール＝運動できる｣とか皆に思われているのかな。ともなんとなく感じているのだが。

私達は、高校から知り合ったとはとても思えないほど仲が良く、なんでも言い合える存在だ。もう、“親友”を通り越して、“心友”と言ってもいいくらいの。