目が覚めたのは9時50分…遅刻だ…
私はこれまでに寝坊はしても遅刻はしたことはない。学校を休んだこともない。
重い瞼をまた閉じる。積み上げたものを壊すようになっちゃうけど、今日は休みたい。学校に行きたくない。でも…今は家にもいたくない。
とりあえず、私は制服に着替えて外へ出る。
いつもは華奈と歩く道を1人でのそのそと歩く。
ちょうど学校へ着いたときは、門の前でもう足が動かなくなっちゃって私はそこに立っていた。
「なにしてんだよ。早く入れよ」
界君が私に向けて放った言葉。界君は怖いと思ってたからずっと歯向かうことは出来なかったけど、今なら言える。界君は本当は優しいし、それよりも怖いことができてしまったから。私はただ怯えてるだけなの。
「行きたくない…」
振り絞って出した声はそれでも小さくて、界君に聞こえただろうか。
「だからどうするんだよ」
界君はそんな私の精一杯を取り消すようにした。界君の髪が風に揺られる。驚きなのかなんなのかわからないけど私は咄嗟に界君を見ていた。
どうするんだろう。どうすれば正解なんだろう。どんなに答えを探そうとしても私に出すことは出来なかった。
「…」
「お前は何もしてない。それなら堂々としてればいいだけだろ?何かあったら俺が絶対守るから」
そうだ。堂々としてればいいんだ。前にも照れながら界君が守るって言ってくれたけど今回は何か違う。界君自身が堂々としているから。
「ありがとう」
何度も言っても足りないくらい。何度言っても同じようなことを繰り返す。
精一杯のありがとう。
そうして、私は一歩踏み出した。