「おい!夏織!」
あの後、全く集中しないまま授業が終わった。
私、なんか浮かれてたんだろうな。
湊に告白されて私は好かれてるって思い込んじゃって…きっと私じゃなくても湊は幼馴染だから、大切なんだって…好きなんだって…思ってただけなのに…
あーもう私のばかばかばか。
なんでこんなんなの。
なぜか苦しいよ…

「夏織!!!」
どこかで私を呼ぶ声。
うっすらと見えるとある人の顔。
「誰ー?」
寝起きのせいか声があまり出せない。
「俺だよ、湊。お前どんだけ寝てんだよ」
あー湊か。ようやく見えた湊は心配?いいや、怒ってる?違う違う…とにかくそんな思いが混ざった顔をしていた。
「どんだけって…?今、何時?」
「何寝ぼけたこと言ってんだよ!数学の授業終わってすぐ寝やがって。夏織って呼んでも気付かねえし。もう今、2時間目終わって休み時間だぞ?」
「な、なにそれ!?」
そんな湊の話を聞いた瞬間、私は思い出した。いつの間にか寝てしまっていたことを。
「先生、呆れてたぞ。起きたら職員室来いだとよ」
ひぇー。寝てただけで職員室か。まぁそうだよね、あんだけ寝たらだめだよね。
「職員室行ってきます」
そう湊に告げ、職員室に向かった。
職員室の前に着くと、ドアに手を伸ばしたけれどとても嫌な予感しかしなくて…嫌な予感っていっても予感じゃないんだけど…
とにかくここにじっと立っててはいけないと思い、恐る恐るガラガラとドアを開ける。
先生達が音に反応して反射的に私を見る。
先生を見つけるとドキドキしながら"失礼します"なんて慣れないことを言って職員室を歩く。