「もう!界君のせいで心ちゃん達と全然話せなかったじゃん!」
「そんないつまでもつべこべ言ってんなよ。本当はちょっと一人でいたくなったんじゃねえの?」
なんで…なんでわかんのよ?誰にもバレないように誰にも迷惑かけないように私が努力してたというのに。界君はそれを壊すんだよね。ちょっと嫌いだけどいつも私は助けられる。だから本当は好き。恋愛とかそういうほうじゃなくて…
でも、界君にずっと当てられっぱなしは悔しいから嘘ついちゃう。
「そんなことないよ!界君の勘違いでしょー」
「俺が勘違いするとでも思ってんのか?いいや、しない。だから、お前も正直に一人になりたかったって言え」
ばっかみたい。どんなことを言っても毎回、界君にはわかっちゃって。
「一人になりたかったですよ!」
「ふっ…」
笑いをこらえようとしてるけどこらえられてない界君の顔を見ると私まで笑ってしまう。二人で大爆笑した。前までは界君って怖いイメージで笑いもしないんじゃないかって思ってたけど、全然いい人でみんなと同じように笑って…

「なんかありがとう。頭の中整理できた」
「俺は何もしてないからな。いつもお前がお前自身を変えてるんだから。俺がお前のことを変えてるんじゃない」
「それ、前も聞いたよ。でも、私は私だけの力で変わったとは思えないから。だからさ…うん…ね!」
「何言いたいかわかんねえなあ!」
「ちゃんと聞いてよ!」
そんなこんな話しているとなにかに覆われた気分になる。
「あれー、夏織ちゃんじゃん」
ゾクッとする。震えが止まらない。金縛りにあったかのように動けない。
華奈…?
声にも出ない言葉を心の中で言う。
「それに界♡」
私はただ俯いてじっとして何もされないようになんとも思われないようにとしていた。
きっとね、私の感だけど界君は華奈を睨んでるんじゃないかな。そして、何も出来ない私に呆れてるんじゃないかな。
「何のよう?」
「べっつにー?いたから声掛けてみただけだけどー」
「そんなことでいちいち話しかけてくんなよ、きもちわりいから」
「えー?夏織ちゃんはいいのに私はダメなの?」
「夏織ちゃんなんて呼ばないで!」
咄嗟にでた。
「あー、ごめんねー。夏織ちゃんなんて馴れ馴れしすぎたよねー。星野さんだよねー」
違うよ。私は前みたいに華奈に夏織ってあの笑顔で言われたいのに。もうそんな仲に戻れないの?前みたいに一緒に笑い合えないの?
そんなのやだよ…
「おい、星野。言いたいこと全部言えよ」
「…」
「言えないのか?お前はそんなやつだったのか?」
「…」
「黙りかよ。つまんねえ。もう俺行くから。二人で見かけだけでも仲良くしとけば?」
私は界君の言い残した言葉を考えながら界君の後ろ姿を悲しく見つめていた。