「……あのっ!」





今度は中庭で助けてもらった同じ場所で
私がこの人の手首を掴んで……




「……名前っ……名前を教えて……!」






振り返ってふわふわな髪が風に揺れる。


よく考えるとバタバタしてて全然顔見て
話せなかったから見えなかったけど……




少し前髪が長くて、髪がすごく細い……
それに顔のパーツの一つ一つが
凄く整っていて綺麗な顔……。




「……ぶはっ!!何言ってんの……っ!」

「……え?」




彼はいきなり目を細めてくしゃっと笑った、




「わたし何かおかしい事言ったかな!?」






彼はさらに笑って私の目を見ながら……










「……朝比奈 尚」


「え?」







あまりの不意打ちに
言葉があたまに入ってこない。






「だから、俺の名前……」





「え、あ、えっと……あさひな……」





「おい……ちゃんと聞いとけよなー……


尚だよ。朝比奈 尚(あさひな なお)。」






「朝比奈君……って呼べばいい……かな…」






「……っ……そんな気ぃ使わないくても
尚でいーよ全然」







彼は一回一回私の言うことに笑いながら
聞いてくれる。







「……尚。ありがとう……尚って呼ぶ!!」







「んー……じゃあ俺もめいでいーよな?」

「うん!!…………て…なんで私の名前…」






「何言ってんの……生徒会長が……」




あ、そっか私生徒会長だから名前知られて…








……ん?私何か忘れて…………






「……あ!!!!ペンキっ!!!!」





うわぁ!!待ってもう5時!!
絶対間に合わないよ〜〜!!!!!






って私制服にペンキ付けちゃってほとんど
インク残ってないと思うし……






でも制服についたペンキは
洗濯で落ちる奴だったから……
不幸中の幸いっていうか……






ってほんとに間に合わない!!!






私生徒会長なのにこんな……こと……





今からペンキ買い出しに行ったら……
確実に学校閉まる……












「……ペンキの予備なら倉庫にある」





「……え?」


「ペンキもう空に近いだろ?」


「えっと……」






私はそこのバケツの中に目線を落とすと
ほんとに少しで絶対足りない量だった。






「……うん……」






「だから俺が倉庫から持ってくる」



「そ、そんなこと悪いよ!!
助けてもらった上にここまで迷惑かけら
「別に、あんたのためじゃないから」







尚の一言で空気は静まる ーーー 。





「……じゃあなんのために……?」






尚は下を向いて耳を赤くしながら……









「……困ってる人が目の前にいて
助けねーわけにいかねぇーだろ……」






「……っぶは!!!なっ……なお……!!」


「ってなんで笑うんだよ!!!!おい!!」


「いや……ついっ……!!」





だって……ツンツンしてるけど
ほんとは凄く凄く

優しいんだなあって思ったから……












「……ほんとにあんたといると調子狂う…」



「え?」






「……いや別になんもねー……

今から俺が倉庫に行くから……あんたは…
保健室にある制服絞って……
乾燥でもかけとけば?」






私に背を向けながらそう言って
倉庫に行こうとする尚の腕をとって






「尚、ありがとう!」





そう言って笑うと





尚の頬は赤く染まっていった。