今日の朝は目覚めがよく、早く学校に到着した



「やった、一番乗り〜!」


と言いながら教室のドアを開けると…漫画のように王子様がいるというわけもなく、普通に一番乗りだった



「はー。やっぱり1人か…」


……机にうつぶせになってると


ガラガラ…


教室のドアを開ける音がする


あと、誰かの足音がこっちに近づいてくる音


ひゃーー!どうしよう。起き上がるタイミング逃したー!



「ふっ、可愛いな…」



え…



私今か、可愛いって…声は男子だった…でも誰だろう



「ぁ…あの!」



「…起きてたんだ」



なんだこのイケメンは!このクラスにいたっけ!?



「何組の人ですか!?」


沈黙が流れる……え?



「…え。同じクラスだけど?」



「…誰と?」



「お前と」








「え!?え!…私…失礼な事を!ごめんなさい!」



「ふっ、そんな必死に謝んなくても…まぁちょっと悲しいけど」


彼はそう言いながら自分の席に戻った


「ふぁ!ごめんなさい!!!」



この人すごい笑ってる



「あ、あの…」



あ、どうしよう…名まえ聞くのも失礼だよね…



「…瀬野颯人…颯人って呼んで?」



わ…かっこいい…



「あの、はや


ガラガラ…複数の男子が入ってきた


「お!?早いなー、2人…もしかしてー?」



「違うから。沙奈に迷惑だろ?」


颯人くん…



私は大人しく自分の席に戻った。私の席は窓側の一番後ろ、颯人…くんの席は廊下側の真ん中あたり



「さなやーん!!!「さな!」」



びくぅぅぅ!!



いきなり大声で呼ばれてビックリしました!



「ど、どうひたの!?」



か、噛んでしまった…恥ずかしい



颯人くんに見られてるか気になって見てみると、ちょうど彼もこっちを見た



周波数…あった…



そう思ったのは私だけだと思うけど、そのあと私を見て笑った彼の笑顔が忘れられない



「さな、驚かせてごめんねー!」



「さなやん、よかったー。変な男が付いてないか心配で…」



変な男…?




「そうそう、さなは可愛いから私たちがいないと男が寄ってくるの。」



「え?そんなこと…」



ゆうちゃんとゆかちゃんは同時にため息をつく



「やっぱ、気づいてないな、ゆか、どうするよ?」



まただ、作戦会議??みたいなの



むーー。…颯人くん…颯人くん…


や、私ったら男子と話すの初めてに等しいからって…そんな考えて…あは、は




「ね、ゆかちゃん、彼氏いたよね?」



2人の作戦会議が終わる




「うん、いるねー。」




「…好きになるってどういう事なの?」




「「えええええええ!?!?」」




「ゆかちゃんとゆうちゃんは息ぴったりだねー」



そんなことを言ってみると



「いやいやいやいや、そりゃしょうがないでしょ!」


「そうだよ!さなやんが!あの恋愛なんて縁がないはずのさなやんが!」




な!



「私だって男の子好きですよ!ただ、話すのが苦手なだけで…」



そんな私のカミングアウトに2人だけでなく、そろそろ集まりかけてきたクラスの人たちも驚いていた。もちろん、颯人くんも



恥ずかしい…あんな大声であんなことを




私今、顔赤いだろうな…




「さなやん…私たちのせいで恋、出来なかったんだね…」



「ゴメンね、さな。」



「でも理由があってさなやんを」



「理由…」



理由か…思いたる事はただ一つ、入学式の日のこと…