王道なんて逸らしてしまえ




ーー神田家を出ると時計はもう8時を回っていた。



生姜焼き美味かったな。




俺はぼんやりとそう思いながら歩き出した。




神田家と俺の家は近い。昔からご近所付き合いみたいなものがあり、健とはずっと親友だ。



弟の啓も本当の弟のように思える。








麗はーーー










俺はスマホを出して画像フォルダを開く。






健が朝Twitterに載せた麗の深海魚のような白目向いた寝顔。



「やっぱブスだなぁ…あいつ…」



画面越しの麗を見てクスッと笑う自分はどこか柔らかい表情をしているのだと思った。








担任をするまでは、麗も俺の本当の妹のような存在だった。







でも今はーーー




「本当は進路のプリントなんて、来週でも構わねぇんだよな。俺ほんと滑稽だわ」







わざわざ理由をつけて先生ではなく、了兄として会いにいってしまう、そんな存在だーー





自分が滑稽すぎて俺は少しだけ笑った。



空を見上げても、星は見えなかった。